
国内外で「日本庭園」をテーマに発表してきた抽象画家・尾形純の作品集。
ともすると作画の真意を理解されない「抽象芸術」。本書では作者の作品を紹介し、制作のソースやプロセスにフォーカスし、作品鑑賞の助けになるよう導いている。
本文では、本江邦夫氏、三田晴夫氏、大島幸治氏らの論評のほか、鑑定士で知られる永井画廊のオーナー、永井龍之介氏と尾形純の対談も掲載し、作品や展覧会を通して様々な質疑応答が繰り広げられる。美術ファンだけではなく、一般の方々に尾形純の絵画を理解し、作品や庭園を楽しんでもらうことを目的に編まれている。タイトルとなった京都「十の庭・つなしのにわ」に倣い、9つの章に分け「庭の材料」をテーマにした作品を各章で紹介し、十章では作者の考える庭や彩色について言及し結んでいます。
枯山水を始め、抽象芸術に親しんできた日本人。雪舟をはじめ古来より絵画の材料となってきた「庭の世界」を、作家の目を通して楽しむことができる一冊。外国人にはもちろん、多くの日本人自身に“日本人の美意識”を喚起する作家による「電子ポートフォリオ」。